生地の基礎知識2

生地のカット販売について
通常業者間では基本的に生地のカット販売は、あくまでもサンプル製作や雰囲気を見るための物という認識です。そのようなことから殆どのメーカー・商社はカット販売を5m〜10mまでと制限しております。そのためカット販売の場合には、カットする加工代も含めアップチャージされるケースもあります(通常生地単価とは別のカット代と呼ばれるものです)。カット販売中心の小売店・服飾雑貨店とはそのような点で違いがあります。逆に1000m以上とか小売されていない生地(業者向けに流通している生地)でも手配できるなどのメリットがあります。あと小売店の場合その生地を大量に欲しくても店頭分しか在庫がない場合もあり、柄物は特に同じ物が入手できない場合もあります。あくまでも必要分だけ入手できれば良いと思えばメリットはありますが、ある程度まとまった数量(50m以上)がその後必要になると商社・問屋の方が入手が早く確実だと思います。またカット販売している生地は、染めロットの管理ができないため、同じ生地の同じ色を細かく定期的に購入していると色が微妙に変わる可能性があります。ある程度の期間でまとまった数量になる場合には反単位で購入する方が、後の問題もなく確実です。ちなみに生地メーカー・卸問屋・専門商社から見ると10,000m程度からの話でないとロットが多いとは言いません。その辺りはあまり生地に馴染みがなく300〜500mくらいで量が多いと感じていると話がかみ合わないこともあるかもしれません

生地の納品形態
生地の納品形態 反(たん)単位の購入であれば上図のようなロール(巻き)状での納品になります
カット販売の場合は、基本的に畳んでの納品になります(一部特殊な生地は巻いた状態になります)。カット販売のところでも記載してありますがカットはあくまでも生地の質感を確かめたり試作用なので、巻いて納品するケースの方が少ないです。また3m幅の生地などでは1.5mで折り返してロール状に巻いている生地もあります。綿布では100m巻きなど重量がある物は反単位でも畳んでの納品になることもあります。生地によっては端部分に織りキズなどがあるという印がしてある場合もあります

生地の表裏
通常生地はロール状の外側は裏面で内側に巻かれている方を表面としています(※ボア・ファーなど毛足の長い生地は逆になっています)。ただしそれはあくまでも生地を織る側の表裏であって、その生地を使用・加工する側ではわざと裏面を表使いするケースもあり、裏面を表地として使用してはいけないと言うものではありません。ニット系の生地は裏面の方が凹凸感がでるために、よく裏面を表地として使用されています。また生地によっては織りの風合いは一緒でも表裏で光沢感が違う場合もあり、それでもどちらを表として使用するかを選ぶことができます(シャンタンなどがその例です)。生地によっては表裏ではなくA面・B面と呼んだりするのも両面使用を前提にしているためです

生地の染めについて
オリジナル色に生地を染めることができますが、生地により染めるロットが異なります。通常は800m〜2000m程度必要になりますが、定番素材(天竺・カツラギ・サテン・トロピカルなど)は200mほどでも染めることが可能です。ただし生地を染める場合には、染める時期が違うとその時の温度・湿度により色が変わる恐れがあります。その点は予めご了承下さい。また生地を全部染める前に、ビーカーサンプルと言って切手くらいの大きさに染めた生地で色目を確認することができます。納期も染めるロットによりますが2・3週間程度見て頂ければと思います。綿素材は特に染める前は115cm巾くらいあっても、染めた後は縮んで112cm巾になってしまうなども想定できます。どの程度縮むかは状況によって違いますが、製品を作る際の要尺は余裕をみて頂いた方が良いです。あくまでも生地を染めるとは生地に『色を付ける』ことで『織る(作る)』ことではありません。生地をオリジナルで織るには大量ロット(10000m以上)が必要になります(一部の素材では機械で小ロットでもできるようですが、弊社では現状わかりかねます)

生地のスリッター加工
スリッター加工 生地の原反(げんたん)を巻いたまま、生地幅のみを裁(た)ち落とす加工。ポリエステル素材の生地であれば、ヒートカットでのスリッターが可能なため、スリッター部分もほつれてきません
例えば、
@120cm幅の生地を40cm幅で3本にスリッターする
A120cm幅の生地を真ん中でスリッターして60cm幅ずつにする

既製の生地幅ではない場合でもこの手法を使用すれば簡単にオリジナルの生地幅にできます。ただしあまりに細かいサイズ指定や毛足の長い生地など一部素材ではスリッターすることは難しいです

生地の裁断について
生地をハサミやロールカッターなどで切った場合にほつれるかどうかは生地によって変わりますし、生地に加工がしてあるかで変わります。わざと生地の裏面に樹脂加工を施してほつれ止め加工をすることもあります。ただし樹脂を塗ることで生地の風合いが変わり張り感が出てしまいます。同じ種類の生地でも商品が違えば裁断面がほつれ易い・ほつれにくいのもあり、一概にどの種類の生地がほつれにくいと言うものでもありません。アパレル系ではユーズド感を演出するために、わざとほつれる状態のまま製品に仕上げることもあります

生地の防炎加工について
弊社で取り扱っている生地で『難燃(なんねん)』とか『防炎(ぼうえん)』と表記している物は、あくまでもカーテンや幕・クロスなどの用途に限定した商材において認定のとれている物です。弊社の『難燃』の生地でも防災頭巾に使用したい場合などは改めて製品製作後に防炎検査を受けて認定を受ける必要性があります

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